寝ながら瞑想ができる?寝ながら瞑想の効果とその方法

fMRIを始めとする最新の科学技術により、瞑想は思考を停止させることによって「脳に休息を与える」効果が認められるようになり、瞑想はスピリチュアルなものではなく、科学的な「脳ケア」「脳トレ」になりました。
それに伴いGAFAなどのリーディングカンパニーが、マインドフルネス瞑想(Mindfulness Meditation)を社員研修の一環として取り入れたことも瞑想人口が増えるきっかけとなりました。
このように瞑想はあらゆる媒体で特集され始め、特にコロナ禍においてはストレス軽減法として認知されるようになってきていますが、特に高齢の方においては、座禅を組んだ状態で深呼吸を行わねばならないという体勢のネックで、瞑想を断念したという話を耳にします。

確かに古来から瞑想(ヴィパッサナー瞑想)とは、仏教の禅における「悟り」や「解脱」を得るための手段でありました。
そのため、結跏趺坐(正式な座禅の座り方)やあぐらをかき座るという姿を想像してしまうのだと思いますが、その姿勢自体を苦痛に感じられる方もいらっしゃることは確かです。
身体に余計な負担を掛けず、よりリラックスして瞑想に取り組める方法はないのでしょうか?
その答えになるのが、「寝ながら瞑想」です。
瞑想と睡眠と脳波との関係
「横になった状態で行う瞑想」と「睡眠」では一見状態としては同じに見えますが、どのような違いがあるのでしょうか?
ここで少し脳波の話をしましょう。
人間の脳波は、4つの状態に分けることができます。
α波(アルファ波) β波(ベータ波) θ波(シータ波) デルタ波(δ波)です。
β波は集中や思考時に発生する脳波であり、つまり覚醒時に表れる脳波です。
それとは逆に、身体がリラックスしている時に発生する脳波がα波です。
この状態の脳には、βエンドルフィンというホルモンが分泌されるので、そのため心身のストレスが軽減され、多幸感が高まります。
そして副交感神経が優位な状態になりどんどんリラックス状態が進んでいくと、やがてθ波というまどろむ時や浅い睡眠時に出る脳波が発生し、人間は睡眠に入っていくのです。

睡眠導入時には、脳がまだ眠っていないレム睡眠(浅い睡眠)ですが、次第にノンレム睡眠という深い睡眠に変化していきます。
レム睡眠からノンレム睡眠へと移行するあたりで、θ波よりδ波の割合が増えていきます。
これは大脳を鎮静化し回復させるための眠りで、この深く眠るタイミングに成長ホルモンが多く分泌されるのです。
多くの瞑想はα波が発生し、また音楽効果などでα波が発生している状態で瞑想を行うと初心者の方でもマインドフルな状態に入りやすくなります。
Apple創始者のスティーブ・ジョブズが、ルーティン化していたことで有名になったマインドフルネス瞑想(Mindfulness Mediation)も、同様です。
しかし中にはヨガニドラーなどの、θ波という睡眠時と同じ脳波が発生する瞑想もあるのです。
ヨガニドラーとは
眠りのヨガと言われる「ヨガニドラー」は眠りと覚醒の狭間で、潜在意識(人間の無意識領域)にアクセスし、ポジティブなイメージを刷り込んでいく、「安らぎを培う瞑想法」のひとつと言われています。
トラウマ改善などに役立てられる瞑想方法の一つです。
ディープリラクゼーションを行うことで、10分間のヨガニドラーは1時間の睡眠に匹敵すると言われており、心身の疲労回復にも大変効果があります。
ヨガニドラーの瞑想方法
準備
仰向けに寝る(シャバアーサナの姿勢/サンスクリット語で「屍のポーズ」)
意識的に身体を力ませ、一気に緩めリラックスさせる
ボディスキャン
寝たまま身体の部位を一つ一つ丁寧にスキャンするように意識を向ける
腹式呼吸の調整
呼吸に注目し呼吸リズムを調整する
「吸う時」は身体が軽くなるようにイメージし、「吐く時」は身体が沈み込むようなイメージで行う
イメージング
美しい情景など視覚的なイメージを心に描きながら心地の良い呼吸を繰り返す
頭の中が静かに落ち着いたら思考を止め、ありのままの自分を観察する
サンカルパ
なりたい自分をイメージしたポジティブな決意を3度唱える
目覚める/眠りに入る
ゆっくりと起き上がりリフレッシュした状態を感じる/そのまま睡眠に入る

眠りと覚醒の狭間を保つのは至難の業なので、最初は5分横になるだけでも構いません。
習慣づけるということが大切で、起床直後や就寝前に上記の基本ポーズを取るだけで、ストレスが軽減され、心身ともにリラックスできます。
眠りに入る前など、瞑想の途中で雑念が表れたら、雑念が起こっていることを認識し、再び呼吸やイメージングなどに意識を向けましょう。