ヨガにおいて効果的な瞑想法と呼吸法とは?

日本では、ダイエットやボディメイク目的で始める方の多いヨガですが、ヨガの起源は「瞑想法」や「呼吸法」にあると言われており、その歴史は紀元前2500年にまでさかのぼります。
インダス文明の頃にはその起源となるものが既に存在し、400年頃にはヨガの教典である「ヨーガ・スートラ」教典が成立しています。
さらに時を経てヨガは体系化され、16~17世紀頃には世界中へ広がっていったと見られています。
ヨガの精神は何千年もたった現代へと繋がり、新たなスタイルが次々に生まれ、進化し続けているのです。
このようにヨガはインドにおいて4000年以上の歴史があると推察されており、それは仏教が起こる遥か昔に、輪廻転生からの解脱を求めた行者たちの悟りの修行法として存在していました。
仏教に見られる座禅の原型は、実はヨガにおけるアーサナという坐法にあり、ヨガは身体訓練法である以上に精神の訓練法と言えるでしょう。

ヨガ三大要素とは
ヨガには「瞑想(メディテーション)」 「呼吸」 「ポーズ(アーサナ)」という三大要素があります。
これらが三位一体となって調和することで初めて、ヨガは成立します。
アクロバティックなポーズをとるヨガ行者の姿には目を奪われますが、これがヨガのイメージを歪めているのかもしれません。
ヨガの目的は決して、極端で苦しいポーズを行うことではなく、ゆっくりと腹式呼吸をしながら心身の正しいバランスを取り戻し、健康を維持することです。
横隔膜が上下するほどの深い呼吸は、内臓を刺激し胃腸の動きを活発にします。
古代のインド人は、呼吸が健康維持に繋がることを、遥か昔から気付いていたのです。
実はヨガの「ポーズ」が考案されたのは、そのあとなのです。
あくまでも「ポーズ」は「呼吸」を支えるための、正しい姿勢と言えます。
ヨガ瞑想(Yoga-meditation)とは
胸腔と腹腔を隔てる横隔膜には自律神経が集中しています。
腹式呼吸は横隔膜を動かし、自律神経のバランスを改善する効果があります。
またゆっくりとしたスピードで行う深い呼吸は、副交感神経を刺激します。
人間は副交感神経が優位になると、脳がα波を出し始め、リラックス状態に入り、その状態は、深い瞑想へと導いてくれるのです。
古典ヨガでは、呼吸法は「瞑想」のために行われていました。

ポーズをとりながら呼吸を行うことで、身体と横隔膜をより大きく動かすため、α波が出やすい脳の状況が作られるのです。
瞑想効果とは
「瞑想」はストレスを軽減させ、メンタルヘルスに大きな影響を与えます。
また自律神経のバランスを整えるだけでなく、脳の構造や機能が変化することは既に多くの研究で認められています。
例えば継続的な瞑想は、脳にある扁桃体や海馬の灰白質(ニューロン)密度を変化させます。
扁桃体はストレスに関連する脳の部位で、海馬は記憶と関連する脳の部位です。
慢性的なストレスにさらされていると、扁桃体は大きくなる一方、海馬は委縮することが分かっています。
しかしヨガ、特に瞑想を行うことで脳を休ませ、脳細胞を修復することができるため、扁桃体ではストレス耐性が高まり、海馬では記憶力が向上するなどの効果が実証されているのです。
瞑想の本質とは
瞑想の本質は、内観し(自分の内側を観察すること)客観的に自分を「モニタリング」する訓練です。
どのような状況下であれ、心を浄化し冷静な意識でいられるようになることが、瞑想の最大の目的です。

つまり自分自身をコントロールするということであり、状況や環境に振り回されなくなると、感情的になることも減り、結果的にストレス軽減にも繋がっていきます。
瞑想から宗教的要素を切り離し、最も科学的な瞑想と言われる「マインドフルネス瞑想」(mindfulness meditation)は、トップアスリートやビジネスエリートから「脳ケア」「メンタルトレーニング」として注目され、既に彼らのルーティンワークの一部となっていることが報告されています。
日常生活に取り入れる方法
ヨガには多くの種類がありますが、身体を動かさないヨガというものもあります。
眠りのヨガと言われる「ヨガニドラー」は眠りと覚醒の狭間で、潜在意識(人間の無意識領域)にアクセスし、ポジティブなイメージを刷り込んでいく、「安らぎを培う瞑想法」のひとつと言われています。
ディープリラクゼーションを行うことで、10分間のヨガニドラーは1時間の睡眠に匹敵すると言われており、心身の疲労回復にも大変効果があります。
ヨガニドラーのやり方
準備
仰向けに寝る(ヨガ シャバアーサナの姿勢)
意識的に身体を力ませ、一気に緩めリラックスさせる
ボディスキャン
寝たまま身体の部位を一つ一つ丁寧にスキャンするように意識を向ける
呼吸の調整
呼吸に注目し呼吸リズムを調整する
「吸う時」は身体が軽くなるようにイメージし、「吐く時」は身体が沈み込むようなイメージで行う
イメージング
美しい情景など視覚的なイメージを心に描きながら心地の良い呼吸を繰り返す
頭の中が静かに落ち着いたら思考を止め、ありのままの自分を観察する
サンカルパ
なりたい自分をイメージしたポジティブな決意を3度唱える
目覚める/眠りに入る
ゆっくりと起き上がりリフレッシュした状態を感じる/そのまま睡眠に入る
眠りと覚醒の狭間を保つのは至難の業なので、最初は5分横になるだけでも構いません。
習慣づけるということが大切で、起床直後や就寝前に上記の基本ポーズを取るだけで、ストレスが軽減され、心身ともにリラックスできます。