「慈悲の瞑想」不確実性に最も効果的な瞑想法

新型コロナウィルスによる未曽有の状況下において、最も私たちの「恐怖と不安」を煽るのは「不確実性」かもしれません。
いつまで続くともしれないパンデミックの不確実性、ウィルスの感染力の不確実性、経済の先行きへの不確実性など、この「不確実性」がまさに未知のウィルスのような動きを見せ、私たちが抱える漠然とした「恐怖と不安」の火種に、油を注いでいます。
人間は、脳の「扁桃体」と呼ばれる部位で「恐怖や不安」を処理していますが、この「扁桃体」の働きが強すぎても弱すぎても、私たちの心には問題が生じてしまうのです。
今、「不確実性」が扁桃体を不必要に活性化させることによって、私たちは不必要に不安に駆られている状態と言えます。
生存率を上げるネガティブ思考
「恐怖と不安」の感情を失うと、人間の生存確率は大きく下がると言われています。
かつて狩猟を行い弱肉強食の中、生き延びてきた私たちの祖先は、「本能的恐怖」(「ライオンを見たら逃げる」のように「死」を連想させる恐怖)と不安に依存して進化してきました。
それゆえ人間は生存本能の視点から、「いつもと違う」変化を潜在的に嫌う動物なのです。
変化に対してネガティブなイメージを抱くように進化しており、生存率を上げようと用心する行動を取るように作られています。
人間とは、本能的にネガティブな生き物と言えるのです。

さらに現在のパンデミックのような「不確実性」を含む状況では、「本能的恐怖」に加え、「妄想的恐怖」(「コロナにかかったらどうしよう」のように「想像力」に起因した恐怖)を抱き、リスク評価が全く機能しなくなります。
つまり感情の中枢である扁桃体の主張ばかりが強くなり、理性的な思考を司る前頭葉が感情に圧倒され、状態として「パニック」を起こしやすくなるのです。
言うまでもなく長期的な脅威に対して、パニックは何の役にも立ちません。
理路整然とした思考ができず、「恐怖や不安」が危険を回避する行動に繋がらないからです。
今のような時こそ前頭葉が主導権を取り、脅威を警戒しつつ、時間をかけてリスク評価を行い、行動を制御することが望ましいのです。
慈悲の瞑想とは
ボストン大学Stefan Hofmann教授の研究によると、不確実性に最も効く瞑想が「慈悲の瞑想」だと言います。

「慈悲の瞑想」は「慈・悲・喜・捨」という仏教の精神・概念を、最も如実に表現しており、あらゆる仏道修行の基礎となる瞑想法です。
(慈悲喜捨=他人を慈しむ心・他人の苦しみを憐れむ心・他人と共に喜ぶ心・感情に流されない心「日本テーラワーダ仏教協会より」)
「慈悲の瞑想」は、仏教の悟りの手段として用いられる「ヴィパッサナー瞑想」の導入前に行われる瞑想法として知られています。
同じく気づきの瞑想であり、ストレス軽減法・メンタルトレーニングの一環として、多くの有名企業に取り入れられている「マインドフルネス瞑想」を行う準備段階としても、「慈悲の瞑想」を行うことは効果的です。
慈悲の瞑想効果
「慈悲の瞑想」は科学的にもその効果が認められており、「慈悲の瞑想」を5年以上続けた人の脳では、「右角回」の肥大が見られます。
右角回は、「共感・不安・抑うつ」と関係する部位であり、思いやりの心が育まれると共に、否定的自動思考(ネガティブ思考の連鎖)が消失していくと明らかになっています。
またウィスコンシン大学Richie Davidson教授の研究では、毎日30分2週間の「慈悲の瞑想」で「扁桃体」が活性化し、不安や恐怖の情動処理がスムーズに行われると同時に、共感性の高まりが証明されています。
ノースカロライナ大学教授バーバラ・フレデリクソンは、7週間の「慈悲の瞑想」は感情コントロールを向上させ、人間関係の改善が見られたと発表しています。
これらの研究結果から見ても分かるように、「慈悲の瞑想」を行うことで、ポジティブ感情や社会性が高まり、利他的行動を取りやすくなることが、メリットとして挙げられるのです。
慈悲の瞑想 やり方

基本姿勢
坐禅を組む姿勢でも、椅子に座るやり方でもいいですが、背筋を伸ばすことを意識しましょう。
手の平を上にして両膝の上に置き、深呼吸しリラックスした状態で始めます。
「慈悲の瞑想」は「マントラ」と呼ばれる言葉を唱える方法で行います。
実際に声に出しても、出さなくてもどちらでも構いません。
マントラ
自分と他人の幸せを、自らの願いとして呪文を唱えていきます。
対象は「私」「親しい人」「生きとし生けるもの」「嫌いな人」です。
自分自身への慈悲の瞑想
私が幸せでありますように
私の悩み苦しみが無くなりますように
私の願いごとが叶えられますように
私に悟りの光が現れますように
この主語を「親しい人」「生きとし生けるもの」「嫌いな人」へと順番に変更し、心ゆくまで瞑想を行っていきます。
途中雑念が浮かぶかもしれませんが、あまり言葉に意味に捉われすぎることなく、マントラを言い続けることに集中していきましょう。
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