瞑想が導く安眠効果!睡眠の鍵を握るα波!

良質な睡眠には「寝つきが良い」 「ぐっすり眠れる」 「寝起きがすっきりしている」という3箇条があります。
睡眠の質は、体温調節・体内修復・メラトニンなど成長に関するホルモン分泌と相関関係があり、これらは体内の自律神経や代謝活動のバランスを整える要素でもあります。
睡眠の質を向上させることには、肉体疲労はもちろんのこと、目には見えない疲労を蓄積している脳の疲労を取り除く点で、重要な意味を持ちます。
健康維持や成長促進のみならず、美容・ダイエット、仕事やスポーツのパフォーマンス向上など様々な効果をもたらせしてくれます。
睡眠の質を向上させるには
睡眠時の脳波について
人間の脳波は少なくとも4つの状態に分けることができます。
α波(アルファ波) β波(ベータ波) θ波(シータ波) デルタ波(δ波)です。
β波は集中や思考時・・・つまり覚醒時に発生する脳波であり、良い睡眠の鍵はα波、θ波、δ波の働きが握っていると言えます。
人間は、身体がリラックスしてくるとα波が発生します。

α波が出ている状態の脳には、βエンドルフィンというホルモンが分泌されており、これが心身のストレスを軽減し、多幸感を高めます。
副交感神経が優位な状態になりリラックスが進むと、やがてθ波というまどろみの状態時や浅い睡眠時に出る脳波が発生し、人間は睡眠に入っていきます。
レム睡眠とノンレム睡眠について
睡眠にはノンレム睡眠とレム睡眠があります。
レムとは英語の急速眼球運動(REM)の略で、瞼の下で目玉がピクピク活発に動くためこう呼ばれています。
レム睡眠では脳は眠っておらず、活発に働き、記憶の整理・定着を行います。
夢を見るのもこの間です。
一方、ノンレム睡眠は深い睡眠であり、大脳を鎮静化し回復させるための眠りで、この深い眠りの間に成長ホルモンが多く分泌されます。

レム睡眠からノンレム睡眠へと移行するあたりで、θ波よりδ波の割合が増えていきます。
哺乳類が進化の過程で大脳を発達させたため、レム睡眠だけでは充分な休息を得る事ができず、新たにノンレム睡眠が備わってきたと考えられています。
このように人間の4つの脳波と2つの睡眠についてご説明させて頂きましたが、大切なことは入眠まもなくのレム睡眠時、人間の脳波はβ波からα波へと変容していくということです。
枕や寝具を変える、ベッドに携帯電話を持ち込まない、また充実したバスタイムを過ごすなど、よく安眠のための方法として挙げられますが、もしも上手くα波を出す方法があれば、自ずと睡眠へと誘導することができるということなのです。
睡眠の鍵を握るα波
ケンタッキー大学の研究
アメリカのケンタッキー大学に面白い研究結果があります。
ヨガ行者の習慣を研究した結果、彼らは毎日2時間の瞑想を行うことで、4時間の睡眠による脳と精神の修復効果が、7時間睡眠を取った場合のそれに匹敵しているということが報告されたのです。
また同大ブルース・オハラ博士によると、瞑想はノンレム睡眠の脳活動と酷似しており、不眠症を抱える20人の被験者が瞑想を実践したところ、長く良質な眠りにつくことができたそうです。
実は、瞑想はα波が発生することを脳科学は示しています。
またヨガニドラーなどはθ波を誘発する瞑想だと言われています。
さらに、α波が出て副交感神経が優位となることで、脳内ではセロトニンが分泌されます。

セロトニンは別名「幸せホルモン」と呼ばれ、ストレスに対して効能がある脳内物質であり、セロトニン不足はメンタルヘルスの不調を招きます。
そして夜、睡眠を促すメラトニンは、実はセロトニンから作られており、このセロトニンが不足すると、例え脳の生体時計が正常であったとしても、睡眠・覚醒のリズムが乱れるのはこのためです。
ハーバード大学の研究
ハーバード大学によると、人間は起きている時間の約半分を、実際に取り組んでいる事柄とは別の何かについて考えながら過ごしており、事実、頭の内には毎日5~6万以上もの思考が、無意識に浮かんでは消えているそうです。
そしてその思考の9割以上が、昨日の内容と同一であると指摘されています。
このいわば「心のおしゃべり」が過ぎると、人間の脳は集中状態よりも4倍近く疲労し、ストレスを生みます。
また本来人間の脳はデフォルト・モード・ネットワーク(DMN)という活動を常時行っており、それは意識的な思考外、つまりボーっとしている時にも、睡眠時にも行っています。この「脳のアイドリング」状態が、脳エネルギー消費のなんと80%を占めており、同大学の別の研究によると、眠るよりもさらに深く神経系を休ませ、かつDMNの過剰な活動を抑える有効的な手立てが、他ならぬ「瞑想(メディテーション)」だと言うのです。
マインドフルネスとは
「瞑想(meditation)」と聞くとスピリチュアルで宗教色の強いものと思われがちですが、近年著名な経営者やトップアスリート、また世界のリーディングカンパニーがストレス軽減・感情コントロール・パフォーマンス向上のため、取り入れている瞑想が「マインドフルネス瞑想(mindfulness meditation)」です。
マインドフルネス瞑想は、アメリカの脳医学者であるジョン・カバットジンが、仏教のヴィパッサナー瞑想から着想を得、慢性痛に苦しむ患者のストレスを軽減する医療目的で体系化したものです。

瞑想から宗教的観点を取り除いた最も科学的な瞑想と言われ、科学技術が発達した現代では「集中力を高める」手段として大変有効であることが分かっています。
瞑想のやり方
瞑想は姿勢と呼吸が大切です。
座禅のようにあぐらを組んでも、椅子に座る体勢でもいいですが、背筋は伸ばし、逆に体や腕をリラックスさせます。
手のひらを上に向け、体の前で組むことは守ってください。
これは指が離れてしまったら、眠ってしまったことを認知するためです。
次にタイマーを5分間にセットし、深呼吸を始めます。
ゆっくり鼻から息を吸い、口から吐いてみましょう。
複式呼吸を心掛けおなかが膨らむこと確認したら、ひたすら呼吸に意識を集中します。
始めて数秒で、何かしらの雑念が浮かんでくることに気づくと思いますが、雑念は心の浄化だと捉えて、再び注意を呼吸に向けるようにしましょう。
仏教での悟りの境地のように「無」になる必要もなく、むしろ雑念や思考が自分の中に浮かぶ瞬間に気付き、受け入れることでいいのです。
そして呼吸に集中を戻します。
これを繰り返していると、次第に雑念が浮かばなくなってくるはずです。
初めは5分でも長く感じるでしょうが、自然の睡眠導入剤だと思って睡眠前のルーティンとして取り入れてみてください。